西尾 和樹
ウェルネスワーク株式会社 代表取締役
西尾社会保険労務士事務所 代表
経歴
1983年 埼玉県志木市出身(東武東上線「柳瀬川」駅)
2002年 城北埼玉高等学校を卒業
2006年 宇都宮大学農学部森林科学部を卒業
2007年 農林水産省林野庁北海道森林管理局に入庁
2013年 青森県八戸市に移住
2016年 西尾社会保険労務士事務所を開業
2020年 ウェルネスワーク株式会社を設立
2023年 協同組合ウェルネスワークはちのへ協会を創立
資格
所属
青森県社会保険労務士会八戸支部(幹事)
八戸南ロータリークラブ(第47代会長:2021~2022年)
八戸商工会議所エキスパートバンク登録
まずは、西尾さんのプロフィールをお聞きしてよろしいでしょうか?
はい、ウェルネスワーク株式会社、代表取締役の西尾和樹です。
私は1983年(昭和58年)生まれの埼玉県志木市出身で、高校生まで埼玉県、大学時代は栃木県宇都宮市、国家公務員として就職してからは北海道の道北地方に住んでいました。
八戸市出身の妻の里帰り出産や、東日本大震災、義理の父の起業などをきっかけに2013年(平成25年)に青森県八戸市に移り住みました。
趣味は、ゆっくりお風呂に入ってリラックスすることです。北海道時代には道内の温泉巡りを楽しみ、現在は、青森県内の温泉、大浴場によく通っています。自宅では、泡風呂にして子どもたちと遊ぶこともあります。心も体も癒されています。
ウェルネスワーク株式会社について教えてください。
私は、大学卒業後、林野庁に入り、北海道の自然の中で仕事をしていました。
自然の中で働き、自然とともにスローライフを送りたい、という思いからでした。
八戸市に移住して、自分の生活スタイルを自分の手で実現するために、起業という選択をし、
自分の働き方をつくることを決意しました。
企業の経営管理(人事・労務、経理・財務)のサポート業務を行いながら、「理想の職場・働き方」を追求していくうちに、その取り組みが結果的に健康経営につながっていたことに気が付きました。
自社で試行錯誤しながら取り組んできたものを広く社会に提供するために「ウェルネスワーク株式会社」を2020年3月に立ち上げました。
ウェルネスワーク®とは、ウェルネス(wellness)とワーク(work)の組み合わせた言葉で、「心も体も元気に働く」「働きながら健康になれる職場づくり」を表現した言葉です。
少人数でも始めることができるもの、多額の費用を必要としないもの、自社で実践した取り組みをベースにしていますので、より取り組みやすい"ちょっとしたアイデアや工夫"をお伝えすることができます。
健康経営について教えてください。
はい、健康経営®とは、NPO法人健康経営研究会が商標登録している言葉です。
健康経営について、健康経営研究会が発表しているものをご紹介します。
健康経営とは、「企業が従業員の健康に配慮することによって、経営面においても大きな成果が期待できる」との基盤に立って、健康を経営的視点から考え、戦略的に実践すること意味しています。
今後は、「人という資源を資本化し、企業が成長することで、社会の発展に寄与すること」が、これからの企業経営にとってますます重要になっていくものと考えられます。
(2021年 NPO法人健康経営研究会 https://kenkokeiei.jp/whats)
ウェルネスワーク株式会社では、「健康経営」という経営戦略と「ワークライフバランス」「ワークインライフ」いう考えをもとに「心も体も元気に働く」「働きながら健康になれる職場づくり」を「ウェルネスワーク」という言葉で表現し、企業の成長へつなげていくウェルネスワークプログラムを提供しています。
具体的に教えてもらえますか?
はい、具体的には、7つの分野においてアプローチすることにより、安心して働くことができる職場、従業員の健康維持・増進、コミュニケーションの向上、職場への定着、離職の防止、組織の活性化へつなげていきます。また、その取り組みを社外に広く発信することや、国や自治体で推奨している認証を取得することにより、企業ブランドの向上、企業のPR、ファンづくり、採用力の強化、という好循環の流れをつくります。
ワークライフバランスについて教えてください。
ワークライフバランスとは、仕事と生活のバランスがとれた状態のことを言い、仕事とプライベートもどちらも充実させる働き方や生き方のことです。
仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章では、仕事と生活の調和が実現した社会は、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方を選択・実現できる社会」とされています。
仕事と趣味、仕事と子育て、仕事と介護、仕事と病気の治療、仕事と地域活動などライフステージ、ライフスタイルによって、年齢や性別を問わず、働くすべての人に関係する考え方です。
ワークライフバランスが、「ワーク」と「ライフ」という2つの要素を同列に捉え、対立関係にあることを前提にしている一方で、「ワークインライフ」という考え方もあります。
ワークインライフについて教えてください。
ワークインライフは、「ライフの中には様々な要素があり、その中の一つとしてワークがある」という考え方です。ライフを構成する要素としては、ほかに家族や子育て、介護、趣味(ホビー)や学び(ラーニング)、地域とのつながり(コミュニティ)などが考えられます。
働く人一人ひとりが仕事(ワーク)を人生(ライフ)の一部と捉えて、自分自身の働き方を自由に選択することができる社会を目指すものです。
仕事のための生活や人生ではなく、生活や人生のための仕事である、と。
ウェルネスワークについて教えてください。
ウェルネスワーク®は、ウェルネス(wellness)とワーク(work)を組み合わせた言葉です。
ウェルネス(wellness)とは、
1961年にアメリカの医師ハルバート・ダン氏が「輝くようにいきいきしている状態」と定義・提唱した言葉です。のちに琉球大学の荒川雅志教授が2017年に「身体の健康、環境の健康、社会的健康を基盤にして豊かな人生(QOL)をデザインしていく生き方」と再提唱しました。
私が思い描いてきた「理想の職場・働き方」を考えるうえで、「健康経営」という経営戦略と「ワークライフバランス」「ワークインライフ」いう考え方が、ウェルネス(wellness)という言葉とつながり、「心も体も元気に働く」「働きながら健康になれる職場づくり」を「ウェルネスワーク」という言葉で表現しました。
具体的な取り組みについて教えてください。
ウェルネスワークプログラムには、7つのアプローチがあります。
1.労働法令の遵守(労働安全衛生・健康管理)
2.ヘルスリテラシーの向上(心と身体の健康づくり)
3.生産性高く柔軟に働ける職場環境の整備(働きやすさ:ワークライフバランス、コミュニケーション)
4.企業と従業員が共感できる仕事のテーマ(働きがい)
5.自分自身で働く場・働き方を選択(生きがい:ワークインライフ)
6.企業の取り組みに対する第三者評価によるレコメンド認証
7.企業のPR・ファンづくり
ここでは、「2.ヘルスリテラシーの向上(心と身体の健康づくり)」についてご紹介します。
ヘルスリテラシーの向上とは、健康状態の変化に気づき、生活習慣の改善等を通じて、変化に対処していく力を育成することです。
キーワードは、「運動」「食事」「禁煙」「飲酒」「睡眠」「健康管理」です。
運動:毎日+10分の身体活動
食事:適切な食生活で、からだの調子を整える
禁煙:喫煙習慣を見直す
飲酒:飲酒に伴うからだへの健康影響を知る
睡眠:良い環境づくりで、質の良い睡眠を目指す
健康管理(健診・検診):定期的にからだの状態を知り、病気につながるリスクを早期発見
たとえばどのような取り組みがありますか?
ウェルネスワーク株式会社では毎朝ラジオ体操を実施していますが、開始当初はなかなか習慣化することができませんでした。そこで、青森県三戸地方保健所の「三八地域働く人の健康づくり応援プログラム」事業を利用して、公益財団法人五戸町スポーツ振興公社の健康運動指導士の講師派遣をお願いしました。ラジオ体操の効果的なやり方やポイント、オフィス内で体を動かすコツなどの指導を受け、体を動かすと気持ちがよいことを実感できたとともに、毎朝のラジオ体操が習慣化されました。
その後も同じ事業を利用して、ストレッチやヨガなど自宅や職場で継続して取り組める運動の指導をお願いしています。
普段の仕事は、デスクワークが中心で、長時間座りっぱなしの状態になりがちです。
目の疲れ、肩こり、腰痛、つらい症状が出で、仕事に集中できない、なんてことも。
オフィス内に、バランスボールやぶら下がり健康器、マッサージベッドなどを設置し、仕事の合間に立ち上がり、ちょっと体を動かす、そういう習慣づけを心がけています。
また、スマートフォンアプリを利用して、ウォーキングイベントに参加しています。無料で参加できるうえ、参加賞や健康グッズ、商品と交換できるポイントがもらえるなどのインセンティブもあり、体を動かすよいきっかけとなっています。
毎年、定期健康診断として協会けんぽの補助を受け、生活習慣病予防健診を受診しています。また、がん検診の受診勧奨を行っており、費用の半額補助、健診(検診)時間の就業時間認定を行っています。
健康管理として、毎日、体温・体重・血圧を測定し、記録し、体調管理を徹底しています。
従業員がスムーズに、無理なく続けることができるように、血圧計などをどこに配置したらよいか話し合い、出退勤の導線上に配置しています。経営者の視点で見るとそれほど負担ではないように見える取り組みも日々の仕事に追われる従業員にはいささか面倒に感じる場合があります。皆が自然な形で取り組めるよう「導線」に配慮することは、継続するための大事なポイントだと思います。
最後に、西尾さんからメッセージをお願いします。
ウェルネスワークが目指すものは、みんなが幸せに働ける社会です。
健康経営を実践し生産性が向上する企業がたくさん集まる地域は、必ずや活性化していくだろうと強く感じています。健康経営にも企業にとってちょうど良いものがあるように、それぞれの地域に合ったちょうど良い取り組み方が必ずあるだろうと感じています。
青森県に生きる私たちだから感じ取れる「青森県にとってちょうど良いウェルネスワークプログラム」を提供し、地元企業の活性化、地元経済の復興に資する企業へと成長していきたいと考えています。
少人数でも始めることができるもの、多額の費用を必要としないもの、
自社で実践した取り組みをベースにしていますので、
より取り組みやすい"ちょっとしたアイデアや工夫"をお伝えすることができます。